「キャリアコンサルタントって、実際どんな仕事?」
「将来性はある?自分に向いている?」
「国家資格に興味があるけど、難易度や費用が気になる…」
キャリアコンサルタントは、単に仕事を紹介するだけではありません。相談者一人ひとりの「人生」に寄り添い、その人らしい働き方、生き方を見つけるお手伝いをする、非常に奥深くやりがいのある専門職です。
この記事では、キャリアコンサルタントという仕事のリアルを、具体的な仕事内容から資格取得の道のりなど現役キャリアコンサルタントのおーかわ。が解説します。
キャリアコンサルタントとは?その概要及び魅力とデメリット
・個人の「キャリア設計」を支援する専門家
キャリアコンサルタントとは、個人の興味、価値観、能力を明確にするお手伝いをし、その人にとって最適な職業選択やキャリアプランの設計を支援する専門家です。2016年からは国家資格となり、専門性を持った「名称独占資格」として国に認められています。
つまり、資格を持っていないと「キャリアコンサルタント」と名乗ることはできません。これにより、プロとしての倫理観と責任を持って相談に対応していく職業になります。
キャリアコンサルタントの魅力
相談者の人生の重要な転機に立ち会い、その成長を間近で感じられること
最初は自信なさげに「自分に何ができるかわからない」と話していた方が、対話を重ねるうちに自分の強みや本当にやりたいことを見つけ、晴れやかな表情で次のステップへ踏み出していく。その瞬間に立ち会える感動は、何物にも代えがたいものがあります。
また、様々な業界・職種の方と話すことで、自分自身の視野も広がり続けます。「正解のない問い」に向き合い続けることで、専門家として、そして一人の人間として成長できる、非常に探求しがいのある職業です。
キャリアコンサルタントの具体的な仕事内容
具体的な仕事内容
活躍の場によって少しずつ異なりますが、主な仕事内容は以下の通りです。
1.個別キャリアカウンセリング(面談)
これが最も中心的な業務です。相談者の悩みや課題を丁寧にヒアリングし、対話を通じて自己理解を深め、キャリアプランの目標設定や意思決定を支援します。
・相談内容の例:「やりたいことが見つからない」「今の職場で悩んでいる」「転職すべきか迷っている」「育児と仕事の両立をどうすれば…」など様々です。
2.キャリアプランの作成支援
自己分析(強み・弱み・価値観の整理)や仕事理解(業界・企業研究)をサポートし、相談者が納得できる具体的なキャリアプランを作成します。
3.応募書類の添削・面接対策
履歴書や職務経歴書の添削、模擬面接などを通じて、相談者の強みが最大限伝わるように具体的なアドバイスを行います。
4.セミナーや研修の企画・実施
企業内や大学などで、キャリアデザイン研修、自己分析セミナー、就職活動支援セミナーなどの企画・運営を行うこともあります。
キャリアコンサルタントはどこで活躍している?
下記に表でまとめてみました。
現在様々な領域で活躍しており、今後も拡大していく傾向にあると考えられます。
| 活躍の領域 | 具体的な場所 | 主な役割 |
| 企業 | 人事部、人材開発部、ダイバーシティ推進室など | 社員のキャリア自律支援、研修企画、採用、配置転換の面談、休職者の復職支援 |
| 需給調整機関 | 人材紹介会社、人材派遣会社、ハローワークなど | 求職者と企業の最適なマッチング、転職・再就職支援 |
| 教育機関 | 大学・専門学校のキャリアセンター、高校など | 学生の進路相談、就職活動支援、キャリア教育プログラムの実施 |
| 地域・福祉領域 | 地域若者サポートステーション、就労支援施設など | 就労に困難を抱える若者や障がい者の就労支援 |
最新の調査(※)では約4割が企業で活躍しており、社員の定着やエンゲージメント向上といった経営課題の解決にも貢献しています。
(※出典:労働政策研究・研修機構)
どんな人が向いている?5つの適性
この仕事に興味を持った方が次に気になるのは「自分に向いているか?」ですよね。
「こんな人が向いている!」という5つのポイントをご紹介します。
- 人の話に真摯に耳を傾けられる人(傾聴力)
アドバイスをする前に、まず相手を深く理解しようとする姿勢が何よりも大切です。
キャリアコンサルタントでは傾聴する姿勢が何より求められます。 - 人の可能性を信じ、サポートすることに喜びを感じる人
相手の強みや良いところを見つけるのが得意な人は、間違いなく向いています。
キャリアコンサルタントを行う上で、本人が気づかない能力や性格を引き出してあげることも重要です。 - 物事を客観的・多角的に捉えられる人
相談者の感情に寄り添いつつも、冷静に状況を分析し、様々な選択肢を提示する力が必要です。
キャリアコンサルタントを行っていく中、感情論に流されず、論理的に提案していきます。 - 自分自身のキャリアや生き方について探求心がある人
常に学び続ける向上心があり、自分自身の経験を他者のために活かしたいと考える方。
キャリアコンサルタントをする側も常にセミナーなど自己啓発に努めなければなりません。 - 誠実で、秘密を守れる人
相談内容は非常にプライベートなものです。プロとしての倫理観を持ち、信頼関係を築けることが大前提です。
キャリアコンサルタントで重要なことはクライアントとの信頼関係です。
キャリアコンサルタントの「大変な側面」
この仕事も良いことばかりではありません。
光があれば影があるように、大変な側面も存在します。
実際によくある大変さについても、正直にお話しします。
1. 精神的な負担
相談者は、不安、焦り、怒り、悲しみといった様々な感情を抱えてやってきます。そうしたネガティブな感情を真摯に受け止め続けることは、時に精神的な負担となります。
自分の感情と相手の感情を切り離し、セルフケアを怠らないようにすることが不可欠です。
2. 資格取得がゴールではない
国家資格はあくまでスタートラインです。医師や弁護士のような「業務独占資格」ではないため、「資格さえ取れば仕事が保証される」わけではありません。
資格取得後も、自身の専門性を磨き、ネットワークを広げ、自分自身の価値を高め続ける努力が求められます。
3. すぐに結果が出ない、解決できないもどかしさ
私たちは魔法使いではありません。相談者のキャリアは相談者自身のものです。私たちができるのは、あくまで本人が自ら答えを見つけるための「支援」です。
時に、本人の行動が変わらなかったり、外部環境(求人市場など)によって選択肢が限られたりすることもあり、もどかしさを感じる場面もあります。
キャリアコンサルタントに役立つ資格とは?
キャリア支援に役立つ資格はいくつかありますが、最も信頼性が高く活動の幅を広げてくれるのが、
「国家資格キャリアコンサルタント」です。
「資格がなくてもキャリア支援の仕事はできるのでは?」という声も聞かれます。確かに、求人の中には資格不問のものもあります。しかし、国家資格を持つことには、それを上回る大きなメリットがあります。
国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つことは、専門家としての大きな強みとなります。国が定めた基準の学習を修了し、試験に合格したという客観的な証になるため、体系的な知識とスキルを証明することができます。
この公的な証明は社会的な信頼性にも直結します。資格保有者だけが「キャリアコンサルタント」と名乗れる「名称独占資格」であり、守秘義務も課されているため、相談者や企業は安心して相談をすることが可能です。
さらに、こうした高い信頼性は活躍の場の拡大にも繋がります。特に公的機関や大学などでは、応募条件としてこの国家資格が必須、または優遇されるケースが増えており、キャリアの可能性を大きく広げてくれるでしょう。
継続的な学びの機会:5年ごとの資格更新が義務付けられており、常に最新の知識やスキルを学び続ける環境に身を置くことができます。 これからキャリアコンサルタントを目指すのであれば、国家資格の取得はキャリアの可能性を大きく広げるための「必須のパスポート」と言えるでしょう。
よってキャリアコンサルタントを目指す方にとっては、まず目指すべき資格です。
国家資格キャリアコンサルタントについて
ここからは、資格取得を目指す上で皆さんが最も気になるであろう「試験」「時間」「費用」について、リアルな数字と私の経験を交えて解説します。
試験の内容と難易度
試験内容:学科試験(マークシート)と実技試験(論述+ロールプレイング面接)の2つで構成されます。
合格基準:学科は100点満点中70点以上。実技は150点満点中90点以上が目安です。
合格率:概ね50%~60%台で推移しています。これは、受験資格(後述)を満たした専門知識のある人が受験した上での数字です。決して「誰でも簡単に受かる」わけではなく、しっかりとした対策が必要です。
試験機関:JCDA(日本キャリア開発協会)とCCC(キャリアコンサルティング協議会)の2つの機関があり、どちらかを選んで受験します。(実技試験の評価観点が少し異なります)
受験資格と勉強時間
受験資格
・厚生労働大臣が認定する養成講習(150時間)を修了する。
・キャリアコンサルティングに関する実務経験を3年以上積む。
多くの方は1の養成講習ルートで受験を目指します。この150時間は、単なる座学だけでなく、受講生同士でのカウンセリング演習(ロールプレイング)が豊富に盛り込まれており、非常に実践的な内容です。
講習以外の自主的な勉強時間は、個人差はありますが学科・実技合わせて100~200時間程度が一つの目安になるでしょう。
私自身は元々人材会社で働いていた経験の中で培った知識もあり、100時間程度の勉強で合格できました。
気になる費用は?
- 資格取得にかかる費用及び合格後にかかる登録料について
受験料:学科8,900円、実技29,900円の合計38,800円
資格登録料:合格後、登録免許税(9,000円)と手数料(8,000円)で合計17,000円
上記の費用が掛かります。
- 養成講習の受講料について
約30万円~50万円が相場と言われています。
実際に私が受講した講座は下記になります。
特に印象に残った内容はWEB面談です。実際に講師の方と1時間の中で面談の模擬試験や疑問点を伺えました。
たくさんの質問をさせていただきましたが、いやな顔をせず丁寧に教えていただき最後には励ましの言葉もいただけました。
東京リーガルマインド
資格試験や国家試験の受験指導を行う総合スクールです。
司法試験や公務員試験、各種国家資格の講座を全国展開しており、通学・通信講座を提供しています。
受講料:330,000円(税込)
この料金には、受験資格を得るために必要な150時間の講習とテキスト代が含まれています。通学コース、通信(Web)コースともに同額が基本となります。
その他の割引制度
LECでは、上記に加えて早期申込割引や、説明会参加による割引などを実施している場合があります。最新のキャンペーン情報は公式サイトで確認することをおすすめします。
より正確な情報、給付金制度の詳細、最新の割引キャンペーンについては、東京リーガルマインド公式サイトでご確認いただくのが確実です。
ぜひ参考にしてみてください。
まとめ:キャリアコンサルタントは未来を創る仕事
キャリアコンサルタントは、変化の激しい時代において、人々が自分らしいキャリアを築いていくために不可欠な存在です。その需要は、企業、教育機関、地域社会など、あらゆる場所でますます高まっていくでしょう。
この記事を読んで、キャリアコンサルタントという仕事に少しでもワクワクしたり、挑戦してみたいと感じていただけたら、それ以上に嬉しいことはありません。
あなたの「誰かの役に立ちたい」という想いを、専門的なスキルに変えて、多くの人のキャリアを照らす灯りとなる。そんな素晴らしい未来への第一歩を、ぜひ踏み出してみてください。

