【職業解説】IT営業とは?仕事内容から収入、キャリア、役に立つ資格まで徹底解説

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IT業界の拡大に伴い、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える「IT営業」の重要性は増しています。
また近年では非常に人気の高いIT業界を支えるIT営業とはなにか、本記事では皆さんが気になる内容をまとめました。

「IT営業への転職を考えている」「具体的な仕事内容や収入、キャリアパスを知りたい」という方に向けて、IT営業という職務を現役キャリアコンサルタントおーかわ。が解説していきます。

目次

IT営業とは?概要及び魅力とデメリット

IT営業の業務の流れ

IT営業の業務は、単なる製品販売ではなく、顧客の経営課題を解決する一連のプロセスから構成されます。
まずは下記に簡単に流れをまとめてみました。

  • 市場分析とターゲット選定
    担当市場の動向や競合製品を分析し、自社ソリューションとの親和性が高い潜在顧客をリストアップします。
    CRM等のデータに基づき、アプローチの優先順位を決定する初期段階になります。
  • リード(見込み客)獲得
    リストに基づき、電話やEメール等で能動的にアプローチ(アウトバウンド)するほか、Webサイトからの問い合わせ(インバウンド)に対応し、新規顧客の獲得を行います。
  • 顧客課題のヒアリング
    顧客と面会し、事業内容、業務フロー、予算、課題などを詳細に聞き取ります。この段階で収集した情報の精度が、後の提案の質を大きく左右します。
  • ソリューションの企画・提案
    ヒアリング内容を基に、技術部門(SEなど)と連携して最適なITソリューションを策定します。課題解決の道筋、導入効果、費用などをまとめた提案書を作成し、顧客へプレゼンテーションを行います。
  • 交渉・契約締結
    価格、納期、契約条件などを顧客と交渉し、双方合意の上で契約を締結します。法務部門と連携し、契約内容の精査も行います。
  • 導入支援とアフターフォロー
    契約後、プロジェクトが円滑に進むよう顧客と開発チームの橋渡し役を担います。導入後も定期的に連絡を取り、顧客満足度の維持と、追加提案(アップセル・クロスセル)の機会を創出します。

IT営業における魅力とデメリット

IT営業の魅力とデメリットについて、下記にまとめてみました。

IT営業職の魅力

  1. 顧客の事業課題解決への直接的関与
    • 顧客の経営課題を特定し、ITソリューションを用いて解決に導くことで、事業へ直接貢献する達成感を得られる。
  2. 専門知識の継続的な習得
    • 最先端のIT技術や製品知識を常に学び続けることで、自身の専門性を高め、市場価値を継続的に向上させられる。
  3. 成果の可視性による明確な達成感
    • 受注金額や契約件数など、自身の貢献が定量的な成果として明確に現れるため、具体的な成功体験として認識しやすい。
  4. 高度な折衝能力と経営視点の獲得
    • 企業の経営層と直接対話する機会を通じて、高度な交渉術やビジネス全体を俯瞰する経営的な視点が養われる。
  5. キャリアの多様性と市場価値の向上
    • 職務で得られる専門スキルは汎用性が高く、社内での昇進、好条件での転職、コンサルタントへの転身など、多様なキャリアパスに繋がる。

IT営業のデメリットや仕事のきついところ

  1. 目標数字(ノルマ)に対する継続的なプレッシャー
    • 四半期や年単位で設定される売上目標の達成度が人事評価や収入に直結するため、常に数字に追われる精神的な負荷が存在します。未達成が続いた場合のプレッシャーは特に大きくなります。
  2. 絶え間ない知識アップデートの必要性と学習負荷
    • IT業界は技術革新のスピードが非常に速く、製品知識はすぐに陳腐化します。顧客に最適な提案を行うため、業務時間外にも自発的な学習が求められることが多く、これが継続的な負担となる場合があります。
  3. 顧客と社内間の板挟みとなる調整業務
    • 顧客からの高い要求(機能、価格、納期など)と、社内の技術部門や開発部門のリソース(実現可能性、工数など)との間で利害が対立することが頻繁にあります。その板挟みとなり、双方を納得させるための調整業務は精神的なストレスの大きな要因です。
  4. 失注時の心理的インパクトと業務負荷
    • 数ヶ月、時には年単位の時間を費やした大型案件が最終的に失注した場合、投じた労力が結果に結びつかないことによる心理的なダメージは小さくありません。加えて、上司への報告や敗因分析といった事後処理業務も発生します。
  5. 成果の不確実性と長時間労働の発生
    • 特に新規開拓や大型案件の場合、すぐに成果が出るとは限らず、長期間にわたり成果が見えない不安感を抱えながら活動する必要があります。また、提案の締め切り前など、特定の時期に資料作成や準備で長時間労働が発生しやすい傾向があります。

IT営業に向いている人、向いていない人の特性

IT営業に向いている方と向いていない人の特徴を簡単にまとめてみました。

IT営業に向いている人

  1. 論理的思考で課題を構造化できる人
    • 顧客の漠然とした悩みを整理・分析し、問題の根本原因を特定できる能力。
  2. 知的好奇心が高く、学習意欲が旺盛な人
    • 進化の速いIT技術について、自ら進んで新しい知識を学び続けられる特性。
  3. 目標達成志向で自己管理能力が高い人
    • 売上目標から逆算して行動計画を立て、タスク管理や進捗管理を自律的に行える能力。
  4. 対立やプレッシャーを客観的に処理できる人
    • 顧客と社内の板挟みといったストレス状況を、感情的にならず冷静に調整・交渉できる精神的なバランス感覚。

IT営業に向いていない人

  1. 論理的な分析よりも、感覚的に物事を捉える人
    • 顧客の複雑な課題を構造的に分析・整理することが不得手なため、的確な提案が難しい。
  2. 新しい知識の学習に継続的な苦痛を感じる人
    • 進化の速いIT技術の学習を負担に感じ、知識が陳腐化してしまう傾向がある。
  3. 指示待ちで、自律的な計画立案が苦手な人
    • 目標から逆算して自分で行動計画を立てることができず、主体的な営業活動が困難。
  4. 対人関係のストレスを感情的に受け止めやすい人
    • 顧客と社内の板挟みなどの状況を客観視できず、精神的に消耗しやすい。

まとめ:IT営業への適性と求められるスキル

上記の業務内容と課題を踏まえ、IT営業には以下のような適性やスキルが求められます。これは「IT営業への転職」を考える上での重要な自己分析の指標となります。

  • 論理的思考能力・課題発見力
    顧客の漠然とした話の中から、本質的な課題は何かを構造的に理解し、それを解決するための論理的な道筋を立てる能力。
  • コミュニケーション能力・傾聴力
    製品知識を一方的に話すのではなく、相手のニーズを正確に引き出すための「聞く力」と、複雑な内容を分かりやすく説明する「伝える力」。
  • 目標達成志向と自己管理能力
    設定された目標に対し、達成から逆算して自身の行動計画を立て、それを着実に実行していく能力。
  • IT技術への知的好奇心
    新しい技術やサービスに対する興味・関心が高く、自発的に学習を継続できる意欲。異業種からの転職であっても、この学習意欲が極めて重要となります。

IT営業のキャリアに有利な資格

必須ではありませんが、保有していることで知識レベルを客観的に証明し、「IT営業への転職」やキャリアアップにおいて有利に働く資格を一部ですがまとめてみました。

各資格についての概要と難易度及び費用の目安

資格名概要想定難易度費用の目安(税込)
ITパスポート試験ITに関する基礎的な知識を証明する国家資格。IT業界の入門として位置づけられる。★☆☆☆☆ (易しい)7,500円
基本情報技術者試験IT人材として基本的な知識・技能を持つことを証明する国家資格。エンジニアとの共通言語が増える。★★★☆☆ (普通)7,500円
応用情報技術者試験基本情報の上位資格。より高度なIT戦略やマネジメントに関する知識を証明できる。★★★★☆ (難しい)7,500円
セールスフォース認定資格CRM/SFAの世界最大手であるSalesforce製品に関する専門知識を証明する。SaaS営業で特に有利。★★☆☆☆〜★★★★★22,000円〜
AWS認定資格クラウド最大手Amazon Web Servicesに関する知識を証明する。クラウド関連の営業で高い評価を得られる。★★☆☆☆〜★★★★★16,500円〜

まとめ:IT営業というキャリアの総括

本記事では、IT営業の具体的な仕事内容から、その魅力と厳しさ、求められる人物像、そしてキャリアに有利な資格までを網羅的に解説しました。

IT営業の核心は、単に製品を販売することではなく、顧客の事業課題を深く理解し、ITの力で解決へと導く「ビジネスパートナー」としての役割にあります。その業務は市場分析からアフターフォローまで多岐にわたる、高度な専門職です。

IT営業は、高い報酬と専門性、そして多様なキャリアパスに繋がる市場価値がある業種です。

本記事で解説した内容が、ご自身の適性を見極め、IT営業というキャリアを検討する上での一助となれば幸いです。

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